国東半島芸術祭・千燈アートプロジェクト~ゴームリー像の設置 2014春

来春に完成する大分県立美術館の開館に合わせて、国東半島では2012年より半島をアートで活性化しようと「国東半島アートプロジェクト」 が開催されている。
主催は国東半島芸術祭実行委員会(=大分県・豊後高田市・国東市・公社ツーリズムおおいた)。
総合ディレクターはNPO/BEPPU PROJECT代表の山出淳也氏。

その集大成としてこの秋(2014年10月)に開催される「国東半島芸術祭」のプレ事業では、豊後高田市並石ダムと国東市国見町千灯の五辻不動尊近くにアート作品が設置された。
今回の作品は「地霊」をテーマにしている。

 (設置場所~五辻不動先岩場)


五辻不動尊下の岩場に設置されたのはイギリスの彫刻家アントニー・ゴームリーさん(1950年ロンドン生まれ)の作品だ。
自分自身に石膏を塗り付けて人体の型を取るのだが、固まるまでの間、目を閉じ呼吸を止めながら瞑想をする。彼は東洋思想への造詣が深く、インドやスリランカで仏教の修行を積んでいる。出来た型に鋳鉄を流し込んで完成させるというのだが、これは人体であるとともに身体に宿る内なる空間を象(かたど)った彫刻であるというのだ。人間の体は魂を宿らせるための入れ物に過ぎないという仏教的思想によるものだ。
昨年10月にはゴームリーさん自らが現地の旧千灯寺や五辻不動尊を訪れ、このすばらしいロケーションの中で設置場所や目線(立ち位置)を決めたという。
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2月24日には不動茶屋から設置場所の五辻不動下岩場までワイヤーロープで吊り上げられて設置作業が行なわれた。
イギリスから送られてきた梱包。
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毛布などに包まれたままワイヤーで吊られて設置場所へ運ばれる。距離は百数十メートルか?
サイズはH=191cm、W=58cm、D=35㎝。重量は629.5kg。向うは五辻不動尊のある不動山(352m)。
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岩場に木材で櫓を組んで定位置に設置する。現場の指揮は国見町赤根の園田さん。切り出した材木運搬や、五辻不動尊改修工事の際に資材の運搬を担当したベテランだ。
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無事に据え付けを終えたようだ。ボルトや樹脂で作品は固定されている。
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3月1日は五辻不動尊下の不動茶屋で「千燈プロジェクト・オープニングセレモニー」 が行われた。
三河・国東市長、小川・大分県東部振興局長、地元、平岡・千燈区長のあいさつの後、改装された不動茶屋の前でテープカットが行われた。
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作品のある五辻不動尊下の岩場へ移動して除幕式が行われた。
作品は山口県上関町祝島の東にある八島あたり(東北東?)を向いているという。
鋳鉄の作品はすでに全身びっしりと錆がついていて、これから年月を経て
さらに変化していくという。
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このゴームリーさん作品の設置に際し、国東六郷満山会(天台宗寺院)が「説明不十分で聖地には不似合い」として反対を表明した。この秋の芸術祭本番が終了後、満山会と実行委員会は再度話し合いの場がもたれるようだ。地元住民には地域の活性化になるとして歓迎する声もあり、賛否両論分かれている。

作品設置場所は人家のある麓からは見えず、5分ほど不動山を登って行くことで出会うことができる。
ゴームリーさんは「身体は物体ではなくわれわれが住む場所」と言っている。
皆様も一度現地で作品と対峙し、時空を越えた国東半島の六郷満山文化の祈りや歴史、そして自然を感じてみてほしい。(3月23日まで毎日現地でボランティアガイドによる案内あり)
ゴームリー像は国東半島活性化のありかたに問題を提起した。 当日は除幕の後にも、次々と見学者が訪れていた。

 アントニー・ゴームリーさんによるメッセージ
 ~国東半島・千燈地区に設置される作品『もうひとつの時間』について~
 
仏教における修行や瞑想の地としての長い歴史を持ち、広大な自然と森に囲まれた千燈地区。その丘陵の中腹に作品を設置させていただくことは私にとってこの上ない名誉です。
私は、彫刻をつくりはじめて以来、我々の身体に宿る内なる空間と、その外側に広がる広大な空間との調和について探求してきました。瞑想は意識の物質を橋渡しするものとして、私の全ての作品の礎(いしずえ)となっています。私の作品の多くがそうであるように、本作は私の身体で型を取ったもので、瞑想によって精神を集中させた時間の記録でもあります。
この鉱物の塊は。外側に広がる広大な空間や宇宙に対して、我々の身体に宿る内なる空間を表しており、人々が自分自身をこの内に投影してくれることを静かに待っています。
この彫刻は空を背景に、森、島々、そして海へと続く壮大な自然を見つめます。その目線の先にある景色を思い浮かべることで、私たちは人間が自然の一部であることを改めて感じることができるでしょう。そしてこの作品が、我々が自分自身の内なるものの存在に気付き、穏やかな静寂と寄り添うための器(うつわ)となることを願っています。
 ~ アントニー・ゴームリー
(訳:NPO/BEPPU PROJECT代表・山出淳也氏)
※ゴームリーさんは2013年には高松宮殿下記念世界文化賞(彫刻部門)を受賞されている。


関係はないが・・・
奇しくもこの日の朝刊には地中海の底から1世紀ごろのブロンズ製のアポロン像が発見されたことが報じられている。
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Commented by トトロのとなり at 2014-03-03 11:18 x
私が昨年行ったところですね。えらいな所に設置したものですね。恒久的なものなんですね。現代彫刻は置く場所を間違うと景観を損じます。彫刻家の佐藤忠良さんは都市街頭の彫刻過多を「彫刻公害」と言っておられました。これも微妙ですね。そのうち鉄サビでボロボロになりそう。まぁ、仁王様かお地蔵さんと思えばいいのかも。そのうち私がそのお地蔵さまに赤いフンドシを持っていきましょうかね。
Commented by jinashi at 2014-03-03 21:40
トトロのとなり さん~
アートはそれを体験する人がどう感じ、思うかということだとすると、この彫刻物は田舎者の私たちにとってはすこし難しすぎたのかもしれません。 この後、体験ツアーやトレッキングなどが予定されていますが・・しばらくは見守ってみたいと思います。
Commented by tikuzenootomo at 2014-03-04 18:25
山に人型で、まして裸、、、ビックリするかもです^^;
Commented by jinashi at 2014-03-05 22:39
tikuzenootomoさん~
芸術祭実行委員会では国東半島に若い人たちに来てもらおうということのようですが・・・じなしの御年になると現代アートはよくわかりません^^
Commented by ichihime at 2014-03-06 05:35 x
こんばんわ。。私もちょっとびっくりです。 笠をかぶった修験者さんか旅の僧の石造のほうが似合いそうな気がします。^^;
Commented by jinashi at 2014-03-06 18:43
ichihimeさん こんばんは。
イギリスからコンテナ船で福岡港に到着したのです。
アントニー・ゴームリーさんってイギリスの有名なアーティストと聞いていますがどうなんですか?
設置されてからあの五辻不動尊へは多くの方が(やじ馬さんも)作品を見に来ているようです。 しばらくは皆さんの感想など聞いて見たいと思います。
Commented by k330910 at 2014-12-29 21:22
一度認めてしまうと、今後も認められるということが、懸念材料になるのではないかと思います。ゴームリーだけが、特例になるはずがありません。今回の決定が、今後を左右すると思います。

国東半島は、芸術のテーマパークではありません。今までの姿を守ってきた先人たちがいるから、今があるのだと思います。
Commented by jinashi at 2014-12-31 11:25
k330910さん~ ご意見をありがとうございます。
 話し合いが始まったようですので見守りたいと思います。
Commented by tokio at 2015-06-13 00:26 x
東京からはるばる国東半島芸術祭に来ました。その節はあちらこちらでの国東の方々のおもてなしに感激いたした次第です。
アントニーゴムリーの作品は、今回もっとも印象に残った作品です。
作品をめぐっては、問題があることも理解しましたが、
地元の人たちが関わってできた作品でもありましょうから、地元の意見を尊重することが一番。
作品がまだあるのなら、またぜひこの地を訪れてみたいと思っています。
Commented by jinashi at 2015-06-13 13:13
tokioさん~ご意見をありがとうございます。
芸術祭には遠路よりご参加くださりありがとうございました。もしかしたらじなしとも袖振り合っていたかもしれませんね。
ゴームリー作品の件については「最後は地元意見尊重」という声はよく聞きます。
作品のある国東市国見町の区長会(自治会)は今年1月には〈継続設置〉を要望しています。
それは芸術祭を通じて過疎に悩む地域住民が資源価値に気付き、おもてなし精神で人々を迎えることで地区の将来に希望を感じたということです。
六郷満山天台宗寺院や地元で反対する人、継続設置を求める地元自治会や地権者、そして芸術祭実行委員会での話し合いも数度持たれたようですが平行線のようです。難題ですが早く解決してほしいものです。
国東市ではこの秋(10月10日~11月1日)には芸術祭で設置された市内3か所の作品を中心に地元住民による手作りのアートフェスティバル(仮称)が行われます。tokioさんの再訪を心よりお待ちしています。
by jinashi | 2014-03-02 23:42 | 国東半島芸術祭 | Comments(10)