磯間嶽(いそまだけ・363m) 九州百名山(地図帳)~67座目
磯間嶽北登山口
前日は開聞岳下山後に知覧特攻平和会館を訪れた。母や恋人、家族への遺書は訪れる人々の涙を誘い、遺品の数々に圧倒される。昨日登った開聞岳は66年前(昭和20年)には沖縄決戦へ向かう多くの特攻機の最後を見送ったのだろう。
道の駅「川辺やすらぎの郷」を早朝発ってナビにより磯間嶽登山口へ向かう。南九州市加世田津貫のR270から見た磯間嶽。岩稜の山頂部が見えている。(海岸部から見る山容は鋭く天を突いているようだ)
磯間嶽はこの4月に発刊された「九州百名山地図帳」に新登場した山だが、低山ながら南九州には数少ない岩稜を縦走できる山のようだ。
県271からソバ畑前に登山口への標識を見て一安心。
県270へ入り杉林を縫ってくねくねと進むと右手に登山口(北口)がある。その先左の路肩に2台ほどの駐車場所がある。
準備をしてスタート。7時28分。ここの標高≒240m。
自然林の急坂を上がっていく。
分岐をまっすぐ進み、大岩の脇をひと登りすると右手に人面に似た岩が現われた。「人形岩」というらしい。高さは3~4mで見る方角から人の横顔に見える。
(岩稜縦走コースを行けば「大坊主岩」や「小坊主岩」などの奇岩もあるようだ)
大岩の間を抜ける。
すぐに目の前に鎖の下がった大岩が立ち塞がる。「これかあ、岩壁30m登りは…」
事前学習をしてきたものの最初の垂直部分は4~5mはありそうで少々ビビる。
ママから先に鎖に掴まって登る。下から足場を指示する。登り上がるあたりで少しまごつくが何とか第一ステップをクリア。じなしも緊張しながらあとに続く。登り上がってフッと一息。その先の急斜面も鎖を頼りに這うように登る。後ろは見ない。
最後にトラバース気味に登り上がると標識の立つ山頂へ着いた。7時58分。
むこう側は垂直に切れ落ちた絶壁のようだ。
山頂部の先にも展望岩が続いているが、ここまでにしとこう。
(先は東シナ海に面する海岸?)
山頂写真。
南に岩稜コースの中岳方向。
東にTV中継塔のある蔵多山?
そして北西にはこれから登る野間岳がいい姿を見せている。
再び鎖につかまって緊張しながら下山する。30mの岩場を降り着いてまずは一安心。
往路を戻って無事下山。8時32分。ショートコースの往復でした。
低山だがスリリングな岩稜の縦走を楽しめることで新たに九州百名山として登場したのだろう。
国東半島の田原山や中山仙境に少し似ているかも。
野間岳(のまだけ・591m)
九州百名山(地図帳)~68座目 旧九州百名山~74座目
磯間嶽野間神社登山口
磯間嶽を下山後ナビに従い野間半島へ向かう。旧笠沙町椎木で登山口の標識を見て山道へ入りくねくね登って野間神社に着いた。前に10台ほど停められる駐車場があるが1台もいない。
神社脇の指導標識から入る。9時23分。ここの標高≒350m。
説明板によるとこの野間神社は元は山頂にあって、航海の守護神で漁業関係者の信仰を集めているという。
神殿のよこから山へと入る。
自然林の中、コンクリート舗装の道を緩やかに登っていく。
左に現れた第一展望所は柵を乗り越えた岩の上から足元に東シナ海が見える。
擬木の階段登りから平坦になったところに出る。周辺自治体の植樹園となっているようだ。ゆずが数個実をつけている。
鎖も現われて急坂が続く。
右の第2展望所からは開聞岳などが望めるようだが今日は霞んでいる。
さらに擬木階段の急坂が続く。上が明るくなって登り上がったところが1等三角点のある山頂だ。
石碑があって樹木に囲まれている。10時10分。
一段上に元宮の祠があってその先に並んだ大岩の上から海岸部の景観を楽しめる。
西には東シナ海に突き出た野間半島。
南には映画「007は二度死ぬ」のロケ地となった坊津の沖秋目島が見える。
(1967年~ショーンコネリー、丹波哲郎、浜美枝)
この坊津というところは唐招提寺をおこした鑑真和上が10年の歳月を経て6度目にやっと来日を果たした地だ。(753年に揚州より。その時には67歳の盲目となっていた)
さらにこの坊津は、国東半島で生まれ聖地エルサレムまで歩き、ローマで司祭となったペトロカスイ岐部神父が弾圧の続く日本で布教をするため、16年ぶりに祖国にたどり着いた地でもある。(1630年にマニラから)
そして…そのペトロ岐部が受洗したのも日本に来たFザビエルが布教したからで、何と!そのザビエルもここ坊津から上陸したという。(1549年にインド・ゴアから中国経由で)
ここは日本への異国宗教上陸地なのだ。
昭和47年の鹿児島国体ではここで採火をしたようだ。
この山には山頂(名)標識がないようだ。三角点の前で登頂写真を撮ろうとしていたらひとりの男性が上がってきた。
九州百名山の磯間嶽も野間岳も貸切かと思っていたので…人と会うと何だかほっとする。
地元霧島市のHさん。仕事も一段落してこれからせっせと九州の山登りをするそうだ。
Hさんに撮ってもらった山頂写真。
記念にHさんといっしょに山頂写真を撮らせていただきました。
Hさんとしばらく山話しをしてお別れする。下山は「片浦」へと擬木階段を下りる。
間もなく大岩が小岩を挟んでできた「笠沙石門」を潜る。
擬木階段をぐんぐんと下りると樹林帯を抜ける。山頂部を振り返る。こんなに下りてきた…。
舗装路に降りて野間神社へ戻る。
20分ほど歩くと周回して野間神社前の駐車場へ戻る。11時27分。
帰路の昼食に立ち寄った日置市日吉町の「お食事処正ちゃん」。地元で人気の食堂のようだ。
おすすめのマグロカツ定食はボリュームがありました。
南さつま市のシンボル、金峰山。この山も九州百名山。まだ未登です。
一時市政が混乱していた阿久根市。海沿いにある道の駅。
この日はじなしの「ん歳」の誕生日で思い出の薩摩登山となった。
この薩摩半島は広くて山も多くまだ登山にいい山もけっこうありそうだ。
天気はよかったが山頂からの視界は霞んでいてすこし残念でした。
R226→R270→R3をゆっくりドライブして八代から九州道に乗る。
帰着したのは夜の9時を過ぎていた。