大分学研究会キリシタン分科会座長の木内さんから誘われて竹田のキリシタン遺跡探訪バスツアーに参加した。
8時過ぎに別府駅西口を出発。大分駅上野の森口で乗車した会員あわせて25人ほどの参加者となる。
最初に向かったのは長湯温泉近くの原のキリシタン墓碑(県史跡)。
現地講師は竹田市南蛮文化振興室長の後藤篤美さん。
ここ長湯朽網(くたみ~旧地名)地方は布教時代の多いときは信者数1万5千人に達し、府内、平戸、博多、鹿児島、山口、京都、堺とともにキリスト教日本八大布教地と言われている。
T字型墓碑でINRIはイエス十字架の上部に付けられた罪標。かなり大きな十字架墓標だったのだろう。
下の道路からPM2.5越に?大船山~黒岳を望む。
竹田市歴史資料館へ。
平成24年に複製されたサンチャゴの鐘(キリシタンベル)が置かれている。
岡藩中川家に伝来されていたもので、本物は資料館内にある。長崎の慈善院付属病院・聖ヤコブ(サンチャゴ)病院にあったものでは?と言われている。
1612年製作、クルス紋様もあり。
船村徹作詞・舟木一夫歌「サンチャゴの鐘」は昭和48年発売も日の目を見ることのなかった悲劇の名曲
鐘は自由に撞くことが出来る。
撞き手のTさんは3月27日に国東アストホールで行われるペトロ岐部の創作劇「遥かなる海の讃美歌」に出演の予定。
武家屋敷通りの竹田創生館へ。
中川家紋にはクルス紋と柏紋があって使い分けたという。
幕府からクルス紋ではととがめられたので外に円を付けくわえて馬の轡(くつわ)だとかわしてきた。イエズス会紋章IHSも隠されている?
片手で持てる樹脂製レプリカ「ヤコブ石像」は作成費百万円で精巧な造り。本物の重量は30kgほど。こちらも岡城内に隠されていたようだ。聖ヤコブ=サンチャゴ。
雛人形展開催中。
古田家仲間長屋門。
千利休の弟子、キリシタン茶人で武将の古田織部は、中川家の祖・中川清秀の妹を妻とし、以来古田家は中川家を支えている。
織部灯篭はキリシタン灯篭ともいわれている。
殿町洞窟礼拝堂へ。県指定史跡。
窓枠は(教会の)五角形。正面は宣教師の階段?左右の下部に信者の入り口?
幅と奥行きは3m、高さは3.5mでドーム状の天井で正面に祭壇がある。
家老の古田重治がここにイエズス会神父を匿ったと言われている。
洞窟の下には聖水の?湧き水も・・・
歴代竹田藩主と家臣が眠るおたまや公園へ。
逆卍~仏教を象徴する記号の反対=クリスチャン?
灯篭の笠の裏にクルスらしき紋様が隠し彫りされている。
石灯篭の灯袋は全部月と太陽。建立月日に「十」(クルス?)がとても多い。
誰のものなのか・・かまぼこ墓標。
「定」の異体文字。クルスづくり?
家紋「抱き柏」横にハートとダイヤと波を表わす鬼瓦。
キリストを象徴するもの。
南蛮人宣教師が隠れ住んで火薬を製造していたという大庄屋屋敷跡へ。石段の横に古いかまぼこ石。
畑の横にある洞窟で土、草の混合物や糞尿を腐食させて火縄銃の火薬原料硝酸カリを製造したらしい。
近くには「岡藩火薬製造所跡」がある。
宣教師を匿った大庄屋は現在「食事処おおつ」となっている。
菊池から入ってきた?という大津家の家紋はクルス?
下の分家の屋根にも・・・
このあと茶碗蒸し、汁物、豆乳ぜんざいなど出てきた・・とても美味しい昼の「竹田ご膳」でした。
鏡処刑場跡へ。市指定史跡。
44名が処刑されたという。キリシタンの数に比べてあまりにも少ないのは藩主の配慮か?
藩主縁の寺により供養塔が建てられた。
竹田を離れて佐伯市宇目町重岡のルイサ墓へ。
バスでひと眠りしている間に到着。杉林の中にある。
「渡辺家の当主が、杉の植林をしていたところ、偶然に地中深く埋まっていたこの墓標を発見した。しかし、彼は今まで見たことが無いこの異様な形をした墓標に驚き、たたりを恐れて、土で覆ってしまった。それから40数年が過ぎた頃、時の当主は、父とともに植林をしていた子供のころの記憶をたどり、あれはキリシタンの墓ではなかろうかと思いながら、再び発掘し世の注目を浴びるにいたった。」(説明板)
長さ180cm、幅86cm、高さは頭部で27cm、両脇は25cm。けっこう大きい伏墓。
上部に日輪十字章。
天正年間は宇目郷に岡藩主志賀親次の出城があり、祖父が居住していたなど・・ルイサは岡藩士渡辺興吉郎の娘であろうと言われている。
軸部に洗礼名「ルイサ」と没年月日「元和元年5月25日」が刻まれている。
(以上説明板抜粋)
すべての行程を終えて帰路に・・・
これまで竹田のキリシタン遺跡には何度か訪れている。
今回は「隠しキリシタン」でまちづくりを進める竹田市南蛮文化振興室長の後藤篤美氏の丁寧な解説を聞くことでより深く知ることが出来た。
大分県に多く残るキリシタンや南蛮文化の遺産が「日本遺産」に登録され、関係各地の地方創生につながれば良いと思う。
木内座長さん、大分学の楢本さんはじめ会員の皆さん、ご一緒させていただきありがとうございました。