国東に春が来た~岩戸寺の修正鬼会 2013・2・16(土)

国東の東六郷満山天台宗寺院の岩戸寺と成仏寺では、隔年交互に「修正鬼会(しゅじょうおにえ)」が執り行われている。江戸時代は国東半島六郷満山寺院の20ヶ寺以上で行われていたという鬼会(地元では「おにお」や「おによ」と呼ばれる)だが、現在では岩戸寺は旧暦1月7日に、成仏寺では1月5日に、西満山の豊後高田市の天念寺では1月7日に行なわれている。

鬼会は奈良二月堂のお水取りなど全国各地の天台宗寺院で行われる修正会(しゅじょうえ)と同じ「国家安泰・五穀豊穣・万民快楽(けらく)」祈願行事である。しかしながら国東では追儺(ついな~鬼やらい・節分)行事や修験道の修法が組み入れられるなど「修正鬼会」という独特の仏教行事として1200年以上も前から綿々と続けられており、1977年には国重要無形文化財に指定されている。

 
(国東市岩戸寺)


来浦富士(熊ケ岳)の山の端に昼の明かりがかすかに残るころ、岩戸寺集落に着く。交通整理の人に誘導されて岩戸寺入口まで100mほどのところの県道際に車をとめる。県道から寺へと斜めに停められた車列の横を緩やかに登っていく。

ちょうど上がり着いたところにあるコーリトリ(垢離取り)淵で禊祓いが行われていた。
一年で最も寒いこの時季、タイレシ2人組が順に冷たい沢水に入って身を清める。 見ている方も身震いしそうだ。
※タイレシ=松明入れ衆。六所権現や本尊に大松明(オオダイ)を献灯する。
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竹灯篭の列が山門に誘う。
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次にコーリトリに向かうタイレシ。
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コーリトリが終わると暫くして本堂では「盃の儀」が始まる。
本堂へあがると2012国東半島アートプロジェクトでアートツアー「いりくちでくち」を演出した飴屋法水さん、芥川賞作家の朝吹真理子さんたちも座られていました。
タイレシは装束を身に着けて本堂で院主(岩戸寺僧侶)などの僧と対峙して着席する。
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給仕を務める2人の少年。一人は盃を運ぶ係り、もう一人は酒を注ぐ係り。
小さく三歩すすんで三歩下がるすり足の所作でおこなう。
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8人のタイレシは院主からヤキコブ(昆布)を貰い、少し食べてあとは鉢巻に挟んで額づく。
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タイレシは国東特産の七島藺で編まれたわらじを履いている。
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8人全員が終わるとトシノカンジョウ(大世話人~村役などの指揮監督)が塩水で祓い清める「シオマツリ」。
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続いて院主が祈祷する。
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僧侶たちは一斉に般若心経を唱える。
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法螺貝が鳴り渡ってタイレシ達は一斉に飛び出していく。これをタイアゲという。
タイレシ達は本堂前に置かれた松明を担いで参道の焚火へ向かう。
今年は大分県東部振興局の若手職員20名ほども加勢参加しているようだ。
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参道で燃え盛る焚火から大松明(オオダイ)に点火する。
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4本の燃える大松明が参道に立ち並ぶ。
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鳥居横の石垣(鬼止石)へ大松明を勢いよく3度ぶつけてから階段を上がっていく。そばで「国東半島アートプロジェクト春期」で来られている石川直樹さんもカメラを構えていました。
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国重文岩戸寺国東塔むこうの六所宮と奥ノ院御本尊へタイアゲ(献灯)がおこなわれる。
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タイアゲが終わると今度は講堂で鬼会の勤行がはじまる。
現在ここ岩戸寺講堂は屋根のふき替え工事が行われている。
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須弥壇の前に院主や僧侶、トシノカンジョウや区長、囃子方などが座って読経が始まる。
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加陀(かだ)という法華千法の懺悔からはじまりその後には次々と秘法の勤行が続く。
じなしはこのあたりで持久力がなくなり退散する。

お経が終わると立役という行に移る。
2人の僧により香水(こうずい)という真言密教の舞や鈴鬼の舞などが続き、最後に2鬼が登場するとクライマックスを迎える。
赤鬼は愛染明王の化身といわれる災払鬼(さいばらいおに)、黒鬼は不動明王の化身の鎮鬼だ。かつて?は(成仏寺と同じで)荒鬼もいたようだ。
国東半島鬼会の鬼には角がない。それは追い払われる鬼ではなく、家や民を加持祈祷する招福の鬼なのだ。

山門下のテントでは胡椒餅(こしょうもち)などの出店が賑わっていました。
(胡椒餅はメサマシといわれ夜半に眠気覚ましに僧侶らに配られる~辛いがけっこうおいしい)
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西の関で有名な国東市の萱嶋酒造から当日限定の「清め酒」が販売されていました。
じなしも1本頂きました。御守り付きで2000円也。
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~ 鬼会が終わると国東半島にも春が訪れる。
Commented by yamanba-hita at 2013-02-22 23:06
yokobabaです。
解説も画像も素晴らしいので、手に取るようにわかります。
今夜はNHKでも放映されていましたね。
来浦に28年間住んでいたのに、母は良くお参りしていたようですが、私は1度も行っていません。
講堂の屋根の葺き替えが終わったら、お参りいたしましょう。
有難うございました。
Commented by kiyo at 2013-02-23 08:50 x
じなしさん おはようございます。
相変わらず、幅広く行動されていますね~
16日は岩戸寺か天念寺か・・・ 思案の結果、天念寺に行っていました。
外回りを見た後に講堂に入ると満杯のため、早めに引き上げとなりました。
岩戸寺の麦わら屋根もだいぶ痛んでいましたが、葺き替え中ですか?
葺き替えが終わる前に一度行きたいと思います。
Commented by jinashi at 2013-02-23 18:18
yokobabaさんの家から4.5kmほどです。
ことしの鬼会は高田の天念寺とダブりましたがたくさんの人出でした。すばらしい講堂や宝塔がのこる岩戸寺は鬼会の舞台に最もふさわしい寺です。
1000年前から続く国東独特の行事をいつまでも続けてほしいものですね。
Commented by jinashi at 2013-02-23 18:30
kiyoさんこそ…せっせとごくろうさまです。
天念寺鬼会もすごい人だったと聞きました。
 天念寺鬼会は昔すこし覗いた程度ですが、微妙に国東鬼会と違っていますよね。どちらもこの日のための周到な準備など大変な行事ですが・・いつまでも続いてほしいものです。
岩戸寺講堂の藁葺修復はお金の問題?などで止まっているようです。
 
 それからkiyoさんへのメールはやはり不通となっています。(Undelivered Mail Returned to Senderとなって戻ります)
 HPに掲示板でもあるとよいですね!
Commented by kiyo at 2013-02-24 19:14 x
じなしさん こんばんは
メールの不具合 一部は届いているのもあり原因不明です。
もう一つのkiyomatu@hotmail.comは問題ないと思いますが・・・
勉強のためにblogを作っていますが、情報やり取りはこっちでもOKです。
http://mkiyo11.blog.fc2.com/ 

藁ぶき屋根の修復はお金がかかるので、どこも大変なようです。
英彦山に「財蔵坊」という古い坊がありますが、同じ状況のようです。
Commented by jinashi at 2013-02-24 20:58
fc2、了解です。
Commented by のんびり夫婦 at 2013-02-25 19:35 x
山口県に来られたのですね。
みすず通り、数年前車を置いてゆっくり歩いたことがあります。
風情があってとてもいいです。

秋芳洞の入場料は高いですね。
地元の私達も無料の秋吉台には頻繁に行きますが、洞へは通算でも数回です。
秋吉台の山焼きが終わり、春には翁草を見つけに行きますよ。
他にも色んなお花が楽しめるので、飽きさせません。
Commented by のんびり夫婦 at 2013-02-25 19:40 x
作文途中で入っちゃいましたので、続きです。

山焼き後でないと草が伸びて寄り付けない場所もあり、結構ハードな草原歩きが出来ます。

写真が綺麗に撮れていますね。
改めて、地元もいいものだと思いました。
Commented by jinashi at 2013-02-25 20:54
のんびり夫婦さんの秋吉台の花…見ました。
 カルスト台地特有のお花たちですね。北九州の平尾台と同じような感じがしました。今頃はショウジョバカマ、ケマンなどが準備体操をしているのでしょうね。
by jinashi | 2013-02-18 17:44 | 国東半島あれこれ | Comments(9)