「別府アートマンス」を楽しむ  2012・11・11(日)

湯の町別府ではこの秋「現代芸術フェスティバル~混浴温泉世界」と併せて「別府アートマンス」が開催されている。「別府のまちじゅうが文化祭~町を歩けばいろいろなアートが楽しめる」ということなのだ。

別府駅に開設された別府プロジェクト(主催者)のインフォメーションでガイドブックを頂き、開催中のプログラムから「佐藤渓美術館」を訪ねてみることとする。
駅から歩いて15分ほどで青山町のべっぷアリーナ近くにある「聴潮閣高橋記念館」へ着く。

聴潮閣高橋記念館


ここは明治から大正にかけて活躍した政治家で実業家の高橋欽哉氏によって住居兼迎賓館として建てられた当時はモダンでハイカラな近代和風建築だ。昭和4年に朝見川河口に建てられた聴潮閣だが、築60年ほどとなる平成元年バブル時代に国道10号線拡張と高級マンション建設によりこの地へ移築されたそうだ。
現在は閉館となった湯布院美術館に収蔵されていた佐藤渓の作品をここに展示しているので佐藤渓美術館となっている。
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聴潮閣高橋記念館は高橋欽哉の孫(の嫁?)となる高橋鴿子(はとこ)さんにより管理運営されている。
温泉町別府は大正から昭和初期にかけては頻繁に客船が入港し、多くの入湯客が訪れる国際的な観光都市だったようだ。さらに昭和の戦火を免れたため市内には大正ロマンを感じさせるレトロな煉瓦造りの洋館や、和洋折衷の建物が多く残っていたのだが、老朽化が進み今ではほとんど残っていないという。

聴潮閣別館は現在佐藤渓の常設展示場になっている。
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別館2階では写真展が。
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本館は文化庁による「登録有形文化財」に指定されている。
アートマンス期間中の入館料は600円。
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玻璃(昔のガラス)を通して見る庭。斜めに見るとすこし歪に見える。(〇のあたり)
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風呂に取り付けられたステンドグラス。小川三知(東京芸大卒)の作品。
東京の鳩山邸にも彼の作品があるようです。大正時代の作。
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応接間。
移築した当時は喫茶室となっており、タバコも自由で置かれている灰皿も実際使われたようだ。今は立ち入り禁止となっている。

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和室の天井板と照明。2階も同じ。
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さて、佐藤渓ですが…
1918年広島に生まれる。1928年に東京の小学校に転入。1933年川端画学校卒業。戦争では入営し1945年召集解除され翌年両親の住む島根県出雲市に落ち着き詩作にふける。「溪」というのはそのころのペンネーム。
1948年30歳の時自由美術家協会展に初入選。翌年推薦により会員に推挙。1950年京都の大本教に居候し機関誌の表紙を描く。1954年埼玉県川口市に住む。翌年から東京以西の長期の旅にでる。1956年東京荒川区に住む。1960年旅先の沼津で脳卒中のため倒れる。両親のいる大分県湯布院に帰るが12月30日永眠。享年42歳。
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国内放浪の地図
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教祖様
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佐藤渓詩集
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そのなかの詩「貧乏神」
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高橋鴿子さんの想いにふれた聴潮館を後にする。
すこし先には紅葉も見ごろになりそうでした。
Commented by トトロのとなり at 2012-11-20 11:12 x
いやぁ、ステキな美術館ですね。佐藤渓とは初耳であまり興味はわきませんが、建物が見たいです。私が幼い頃は母が救世主教に凝っていて、ビーコンプラザの近くの本山によく詣でてました。また10年ほど前には妻の甲状腺の検査でその近辺の野口病院に何度か行きましたが、別府の観光は小学校の修学旅行以来してません。別府はいつも高速で素通りするだけ。たまには降りてみたくなりました。
Commented by jinashi at 2012-11-20 18:52
トトロさん こんばんは
聴潮閣のすぐ近くに「筑豊の炭鉱王」と呼ばれた伊藤伝右衛門が美人の妻柳原白蓮のために建てた赤銅(あかがね)御殿と言われる別荘が建っていました。伝右衛門52歳、白蓮27歳の政略結婚でした。佐々木信綱門下の女流歌人白蓮は若い学生と恋におち御殿を出て行きます。明治に建てられたこの御殿も30年ほど前に取り壊されました。
ところが…その時の解体された材料で移築された家が竹田市荻町に個人宅として残っているそうです。
他にもこのような別荘は多くあったようですが…観光都市別府はもっと歴史遺産を大切に残こすべきだったでしょう。
Commented by トトロのとなり at 2012-11-20 22:51 x
そうですね。今や飯塚の伊藤邸は大観光スポットです。美人の白蓮がその屋敷の魅力に色を添えています。あの別邸も別府に残しとけば素晴らしい集客スポットになっていたんですけどねぇ。別府にあればこその魅力で竹田では白蓮を偲べません。とはいえ、いずれ公開して欲しいですね。
Commented by 行重まさあき at 2013-05-18 08:00 x
私は、佐藤溪美術館の一ファンです。
この度、佐藤溪美術館の公式サイトが開設しました。
URLは次の通りです。
http://www.ctb.ne.jp/~chochokaku/
是非、佐藤溪美術館について掲載しているホームページの管理人様にお願いいたします。佐藤溪美術館のホームページのリンクを貼ってください。宜しくお願い申し上げます。
Commented by jinashi at 2013-05-19 10:14
行重さま ご来訪ありがとうございます。
高橋鴿子さんによる佐藤渓を世におくりだそうとする想いが伝わる美術館でした。
 ~愚ブログにリンクさせていただきます。
by jinashi | 2012-11-16 21:42 | ドライブ&トリップ etc | Comments(5)